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■ アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ【Vol.56】2004年7月15日
□ 音効とCGスペクタクル映画、音を聞く新ルンバ
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□はじめての方へ、
このメールマガジンのご登録をいただきましてありがとうございます。
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」は、隔週(第1、第3木曜日)
にお届けしています。内容を充実できるようにがんばりますので、末永く
お付き合いいただけますようお願い申し上げます。
■□■□■ CONTENTS Vol.56 □□□□□□□□□□□□□□□■□
1.技術と開発の閑話(21)
ソフトウェアの標準と部品化 -3- 新開発ツールと再生産
2.サウンド(53)
音効とCGスペクタクル映画
3.3GPP音声通信(49)
ITU-T P.313音響規格 − SLR測定
4.音を聞く新ルンバ(URLクリッピング)
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■1.技術と開発の閑話(21)
ソフトウェアの標準と部品化 -3- 新開発ツールと再生産━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□■
技術や開発に関連した話題を閑話と題してお届けしています。あま
り専門的ではなく技術者以外の方にも接点のある内容にできればと
考えています。
前回につづいて、ソフトウェア開発に関連した標準指向や部品化に
ついての話題です。
▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
http://www.ari-web.com/mm/
■技術の二極化
今から15年ほど前に「今後、ソフトウェアはプラットフォームや
ライブラリを作るハイエンドの技術者と、それらを使うだけを仕事
にする技術者に二極化する」といわれていました。
OS、開発ツールやライブラリが充実したものに拡充されると、それ
を使って単純なアプリケーションを作成する技術者(?)と、そもそも
の高度に専門化したライブラリを設計する技術者に分かれることに
なるというものでした。
その傾向は、1回目に述べたようにライブラリはデバイスメーカー
やOS、開発ツールメーカーに絞られてきている(オープンソースの
場合には少し事情が異なりますが)点においては、二極化していると
いえます。
実際には、ライブラリのセットが丸ごと入れ替えられたり、主要OS
が変遷しているため、ライブラリの充実によって二極化したのでは
なく、ライブラリを組み合わせて使うだけではアドバンテージが無
いため淘汰され、なんらかのアドバンテージを持っていて残ってい
る技術者と初心者が担っているから二極化しているように思います。
■新開発ツールと再生産
先ごろSunによってJavaのラピッド開発ツールが発表されましたが、
おおよその技術者の感想は、期待より「今さら」とか「そこが問題で
はない」といった否定的ともいえる反応が多いように思います。
(Javaな人達から5年遅いといわれも仕方がないような気もします)
規模が大きくなったITシステムは、その開発プロジェクトが稼動でき
る所まで完遂できるかどうか、業務を効率化するための要件定義や
運用後の仕様変更に耐えうるかなど、設計やアーキテクチャー、マネ
ージメントなど、コード生産以外の問題の比重が大きくなっているた
め、相対的にコード生産の手法に関しての興味は低下していることに
も起因しているかもしれません。
コード生産効率は良いに越したことはありませんし、品質への影響も
ありますが、便利な開発ツールが投入されて新規のプロジェクトで
コード生産が効率化したとしても、次もまた繰り返されるため、当の
プロジェクトの将来に渡る保守や再生産などには結びつきにくいと考
えられます。
将来、別の互換のない便利な開発ツールに主流が移ったりOSが違う、
開発言語も違う可能性があるため、コードについては「今はこれにす
る」という選択であって、何らかの期待を持って積極的に新しい開発
ツールを選択するということが少なくなっていると思います。
開発ツールや言語まわりにしてそうですから、ソフトウェア部品に関
しても「将来は捨てる」可能性が高いものを作るというに等しい行為
です。
かつてはソフトウェアの再利用が錦旗のように言われましたが(今で
も、この考え方が主流でしょう)、ソフトウェア・コードの部品化に
よるアドバンテージや対製作コストを考えると、開発プロジェクトの
運営に不可避な作業を除いては、コードの再利用を重視した設計が、
本当に重要であるかと考えることが多々あります(不可避な部分も沢
山あるわけですが)。
書き直してもコストが見合う程度のものかもしれない……再利用に備
えるよりも再生産の方が低コストであったり、開発手法が変化すれば
変更を余儀なくされる再利用にコストをかけるリスクは、これまでの
経過を考えると高いといえます。
数年前のコードが再利用にどれだけ耐性を持っているか、書き直した
場合と変更保守ではどちらが得かと考えると……使い捨てるコードに
コストをかけて、できるだけ長期間使い捨てにしないようにするか、
再生産されることを前提として再生産のためにコストをかけるかとい
うことかもしれません。
1回目に話題にしましたUMLを重視する考え方は、再生産型の考え方
の1つだと思います。UMLを扱うツールの互換問題が問題になると思
いますし、そもそもUMLだけは安泰かということもありますが
それでは、次回もよろしくお付き合いください。(^^)
▼ARIはアプリケーションソフトやデジタル機器の開発などを
お手伝いしています。
http://www.ari-web.com/develop/index.htm
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■2.サウンド(52)
音効とCGスペクタクル映画
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このコラムは音や音響機器などについての話題をお届けしています。
最近はCGを活用した映画がメインストリートといえるほどCG映像を
使った、さらに、フューチャーした映画が多くなっています。音声系
もドルビーサラウンドの劇場を前提に、絵に負けない「音量」の映画
が多いようです。
最近の公開映画の中にCGを使い人や船などのモブシーンが活用されて
いる「トロイ」という映画があります。シュリーマンのトロイの遺跡
で実話として世界的に有名になったあの木馬のトロイを扱ったもので
す。
▼「トロイ」公式サイト
http://www2.troy.jp/
CGのモブ(群集)シーンが活用され広大な土地で展開されたであろう
古代の戦闘シーンは映画「トロイ」の売物の1つでしょう。
この映画を観た方の感想に、戦場がデットな空間なのに剣の音効は、
長い残響音がついていて非常にライブな空間の音になっていることが
気になると述べているものがありました。
昔の屋外(草原や丘陵)のでの歩兵同士の剣劇の盾と剣の発する音は、
城壁に囲まれている場所や屋内と異なり残響音はしないので剣の音
などにつけられた残響付きの効果音が不自然に感じる人もいらっしゃ
るかもしれません(ほとんどの人は気にならないような気もします)。
本気でリアルを追求するとトロイは英語ではダメで古代のラテン語な
どで世界共通で字幕付きにでもしないといけませんし、BGMも日常で
は流れないので無しに……
CGはモデルを作り光を計算してシミュレーション的に映像が作られ
ていますが、音は従来通りのミックスをサラウンド対応で作られてい
るというのが普通ではないかと思います。
音響効果では、本物が録音されることもあるでしょうが、映像に合わ
せて1つ1つはめ込むように当てるというのが普通です。本物の音を
録音したり、素材を当てることもあれば、イメージにある音が造り出
されることもあります。
映像とあわせた時、監督の演出意図が達成されることが重要ですから
本物に近い音が使われているばかりではありません。「レイダース/
失われたアーク」という映画ではヘビが大量(2万匹らしいです)に出
現するシーンがありますが、音は小鳥の声をサンプリングしたものを
ピッチを高くした音が使われています(「インディジョーンズ/最後
の聖戦」の大量のねずみに小鳥だったような気もします)。
この場合には、SFのような実在しない音ではなくても、イメージに合
う音を造るという方法が取られています。
TVの時代劇で人を切るシーンの「ズバッ」とか「グサッ」とかいう音
がキャベツを切る音だったりするのは有名ですが、かつて人気の時代
劇の「必殺シリーズ」の中では、「針で刺す」「かんざしを刺す」な
どのシーンでも「プス」とか「ズブ」とかの音効がつけられています。
実際に「針で刺す」とどのような音がするか実験して見るのはお勧め
できませんが……音はしないですね。
「トロイ」の剣の音も、デットに「チン」と音をつけると映像が派手
なだけにチープな戦いの印象になるのだと思います。スペクタクル系
の音効では、さらに、盛り上げるところで音量を上げないといけない
でしょうし……多分、音効さんはわかっているけど他にやりようがな
いのだと思います(キビシイ条件ですよね。きっと少しリアルに音効
と付けると「音がヤバイです」ってリテイクです)。
音効の違和感は時々聞くことがあるのですが、音で言えば音楽の定位、
特にドラムの定位の方がむちゃくちゃと言えるかと思いますが(劇場の
サラウンドいっぱいのドラムセットってどんな人が叩いているのでし
ょう)、これが変だという人は聞いた記憶がありません。
経験や知識、観ている時の意識によって音に対する感じ方は違うので、
ドラムの場合には「リアル」ではないことは誰もが知っているけれど
も、そのようなミックスが「普通」だと認めているということでしょ
うか。
それでは、次回もよろしくお付き合いください。(^^)
▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
http://www.ari-web.com/mm/
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■3.3GPP音声通信(49)
ITU-T P.313音響規格 − SLR測定
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(社)電気通信事業者協会(TCA)は、2004年6月末現在の携帯電話の
事業者別契約数を発表しました。JEITAの統計情報は、TCAの発表を
参考データにコメントなどが作成されています。
第三世代携帯電話では、ドコモのFOMAが572,600人、auのCDMA2000 1
xが341,600人、ボーダフォンのVGS(Vodafone Global Standard)
が64,100人の純増と3ヶ月連続でNTTドコモが1位を獲得しています。
▼(社)電気通信事業者協会(TCA)
http://www.tca.or.jp/index.html
▼携帯電話/IP接続サービス(携帯)/PHS/無線呼出し契約数
http://www.tca.or.jp/japan/database/daisu/index.html
▼(社)電子情報技術産業協会(JEITA)
「統計データ」に掲載されています。
http://www.jeita.or.jp。
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■1.Sending Loudness Rating
(送話ラウドネスレイト)
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前回はPDC方式の概要とITU-T P.313規格の測定項目についてでした。
今回はSLR測定についてです。
▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
http://www.ari-web.com/mm/
ITU-T P313規格とはPDC方式の携帯端末の音響性能を評価する上で
望ましい測定項目が揃っている音響規格です。
▼ITU-T規格については以前にご紹介しました。
http://www.ari-web.com/mm/bn/20030515.htm
SLR(Sending Loudness Ratingの略)測定は携帯端末の送話方向の
音量を評価するための測定です。測定では話者の声が端末を通して、
相手の端末に適度な音量で伝送されているかを評価します。
測定内容については3GPP/GSM規格の場合と基本的には同じです。
▼3GPP SLR測定については以前にご紹介しました。
http://www.ari-web.com/mm/bn/20020704.htm
測定方法についてはITU-T P.313規格では基本的にLRGP(Loudness
Rating Guardring Position)を使用した測定を規定しています。
LRGPとはテストヘッドの事を指しています。
テストヘッドとは人工口スピーカと人工耳マイクを人間の耳と口の
位置関係を想定して設置した測定装置です。
試験信号にはSweep Sine Waveを使用する様に規定されています。
Sweep Sine Waveが使用できない場合 Artificial Speech(ITU-T
P.50で規定されている人工音声)の使用も認められています。
試験信号は人工口より出力し、MRP点で-4.7dB(Pa)得られる様にレ
ベルを調整します。
測定では人工口の口元にセットしたマイクロホン(MRP点)で測定
した周波数分布(基準値)と、端末より送信した音声の周波数分布
(測定値)から計算によりSLR値を求め、規格値と比較することに
より音量性能を評価します。この時、測定する周波数分布は200〜
4kHz(ナローバンドの再生音声帯域)が対象周波数範囲となってい
ます。
▼SLRの計算については以前にご紹介しました。
http://www.ari-web.com/mm/bn/20040506.htm
▼SLR値の評価については以前にご紹介しました。
http://www.ari-web.com/mm/bn/20040520.htm
SLR値は以下の範囲で規格値が規定されています。
・SLR値 8±3dB
SLR測定は端末間の音量差の軽減や歪みの抑制、聞こえ易さなどを
決める重要な測定であり、計算により求めた値は端末の送話音量を
適度に調整する上で重要なファクターとなります。
次回はRLR測定についてお届けしたいと思います。
▼ARIは3GPP,GSM,PDC音響測定に対応した「3G携帯通信開発用
音響測定システム MTA-01WB-S」を開発・販売しています。
http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-3gpp.htm
▼PDC端末音響システム 製品概要(MTA-01WB-S)
http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-itut-p313.htm
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■4.音を聞く新ルンバ(URLクリッピング)
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WEB参照可能な掲載記事などから毎日伝えられるニュースや記事か
ら気になる情報や翌日には埋もれてしまいそうな記事をピックアッ
プしてご紹介しています(このメールマガジンの発行周期が隔週と
いうこともあって新しい記事ばかりではありません)。
■音を聞く新ルンバ
昨年TV通販などでヘビーローテーションしていた商品にロボット型
の掃除機「ルンバ(Roomba)」というものがあります。円盤状の本体
に走行車輪がついていて室内を自走しる吸引型自動掃除機です。スイ
ッチを入れて(部屋の大きさを切り替える必要がありますが)放置して
おけば自走して室内を掃除します。
このルンバに新商品が出るそうです(米国では)。
▼掃除ロボット:吸引音で汚れを判断する新機種
Hot Wired Japan 2004年7月14日
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20040714308.html
▼Roomba Red
http://www.irobot.com/consumer/product_detail.cfm?prodid=16
▼Roomba Discovery
http://www.irobot.com/consumer/product_detail.cfm?prodid=18
新製品には、音響センサーを搭載してゴミが多くて吸引負荷が高い
場所はきれいになるまで往復するようになったそうです(ということ
は、今までは吸引残しもあったと)。
音響センサーでということは、掃除機などでご存知のモーターと吸引
ファンの音(風切り音もあるかも)が高くなったりした場所では、往復
するということだと思いますが、もっと直接的に吸引関係、例えば、
風速や風量、もしくは、モーター回路系の電流とかで計測することは
できないのでしょうか。
軍の地雷除去走行アルゴリズムを搭載したハイテク商品というもので
すが「音を聞いてもう1度往復してみる」のは少しローテクぽいよう
な対策のような気もします……
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■編集後記
前回は、インテル社の新チップセットを話題にしましたが、この新
チップセットの登場に関連して、各所で「ウィンテル vs 家電」の
ような記事が散見できます。
この図式は「デル vs 家電」と書かれていたりしますし、ホーム・
ネットワークの戦いのように書かれている時もあります。
でも、この時のホーム・ネットワークはAVだけの話で、個人的には
あまり興味が持てる内容ではないというのが本心です。「AVネット
ワーク」ではなくて「ホーム・ネットワーク」なので白物家電や
ガス、水道系なども統合された方のインテリジェント・ホーム型の
ネットワークの方にがんばってもらいたいところです。
良くある、セキュリティを携帯電話からリモコンとかというものは
期待していないのですが、メーカを超えて空調や照明、電子レンジ、
AVを集中制御する簡易リモコンとか、PCによるインテリジェント
でプログラマブルな制御というものを実現して欲しいと期待してい
ます。
空調とPCや給湯器などがネットワークで結ばれて、PCから高度な
制御指示を送りこめるのであれば、大型のビルで行っているような
気象データを使った動的空調制御や全ての家電が連動する日替わり
タイマー予約などもできます。
これを簡単なリモコンで、例えば「お休みボタン」を押すと各部屋
の消灯、施錠、給湯器を待機、空調をお休みタイマ作動するなどが
できる可能性ができるのでAVネットワークより少し楽しいような
気がしています。
動的な空調制御は、エアコンの温度もPCとやり取りできるので記録
も残して誤差補正しながら、翌日の気象データと天気予報から目標
時刻に目標の室温になるように稼動開始するという、今のタイマー
起動とは一味違ったタイマーになります。部屋同士の間接熱伝導や
太陽高度による壁面の動的熱伝導予測と外気センサーも加えると、
快適でありながら、省エネルギー運転ということができる可能性が
広がります(高級ホテルとか大型ビルの空調制御と同じですね)。
それでは、次回、2004年8月5日Vol.57もよろしくお願いします。
ARI A&S 編集部
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