組込CPUのメモリアクセス、パソコンのサウンド…

アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ vol.15
音響と技術 メールマガジン
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音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ

組込CPUのメモリアクセス、
パソコンのサウンド機能

15

メールマガジン「アメニティ サウンド 音と快適の空間へ」は、現在、休刊中です。 バックナンバーのコラムの内、サウンドコラムと技術開発コラムは、 サウンド、技術開発コラム に再編集、一部加筆修正して掲載していますので併せてご利用ください。

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■ アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ【Vol.15】2002年10月3日
□    組込CPUのメモリアクセス、パソコンのサウンド機能
□    http://www.ari-web.com/
□■□□□□□□□□□□□□ 株式会社エー・アール・アイ □■□■

□はじめての方へ、
このメールマガジンのご登録をいただきましてありがとうございます。
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」は、隔週(第1、第3木曜日)
にお届けしています。内容を充実できるようにがんばりますので、末永く
お付き合いいただけますようお願い申し上げます。

 ■□■□■ CONTENTS Vol.15 □□□□□□□□□□□□□□□□□

  1.開発ツールの話(9)  組込CPUのメモリアクセス
  2.サウンド(15)     パソコンのサウンド機能
  3.3GPP音声通信(9)  受話歪特性 Receiving Distortion
  4.液晶ディスプレイと高級AVアンプ(URLクリッピング)

………………………………………………………………………………………
■1.開発ツールの話(9)組込CPUのメモリアクセス
………………………………………………………………………………………
 前回までは、コンパイラの生成コードの評価の具体例として型変換と
 暗黙のライブラリについてでした。今回は、メモリアクセスについて
 の対応コードです(メモリアクセスとは、プロセッサからメモリを読
 み書きすることです)。

  ▼前回までの内容は、バックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/index.htm
 
 DSPやCPUの中には、メモリやスタック、メモリアクセス方法などに
 特殊な条件を持つものが多く存在します。

    ……… スタック / STACK …………………………………
     FILO(First In Last Out)といって、最初に記憶した
     データが最後に、最後に記録したデータが最初に読み
     書きされるアルゴリズムをスタックと呼びます。

     (A + B)×(C + D) という計算では、A+Bの結果を一時
     的に記憶し、C+Dの計算をして、先に計算して記憶して
     いる(A+B)の結果と加算します。

     このような計算処理などで一般的にスタックが利用され
     ます。順次記憶したものを逆順に取り出すという性質は
     利用頻度が高いため、様々な部分で利用されます。

     大半のプロセッサは、ハードウェア的にスタック専用の
     機構をが用意されており、コンパイラは、このスタック
     を計算処理の一時記録メモリとして利用したコードを生
     成します。

     ▼「スタック」ASCII 24 デジタル用語辞典
     http://yougo.ascii24.com/gh/19/001988.html
    ………………………………………………………………………

 パソコン上で動作するプログラムコードを生成するためのコンパイラ
 のカスタマイズ版であったり、スタートアップコードやライブラリな
 どを変更して行うクロス開発の場合、特殊用途のメモリアクセスにつ
 いては生成コードを意識したコーディングが必要となります。

 少しだけメモリ関連の特殊な例を上げてみたいと思います。

  [1] DSPの係数、リングバッファ用オンチップメモリ
  [2] バンクメモリ
  [3] オンチップメモリとして利用も可能なI/Oやレジスタ
  [4] マルチチップのシェアードメモリ
  [5] メモリマップドI/O
  [6] 定数をコードに持てないプロセッサ
  [7] スタックを持たないプロセッサ

 他にも色々ありますが、組込系、ワンチップマイコンやDSPなどでは、
 上に揚げたような点が代表例になるかと思います。

    ……… 簡易用語案内 …………………………………………
     方言を沢山使ってしまったので、簡単にご案内します。
     解りやすくではありませんがご容赦を...(^^;

     □スタートアップコード
      起動時の初期設定コード
     □係数
      信号処理演算に利用する定数など
     □リングバッファ
      輪のように連続したイメージでの記憶方式のメモリ
     □オンチップメモリ
      プロセッサの内蔵メモリ
     □バンクメモリ
      バンクという単位で切り替えて管理する方式のメモリ
     □シェアードメモリ
       複数のプロセッサや、ハードウェアの間で共用される
      メモリ
     □メモリマップドI/O
      プロセッサのI/Oをメモリアクセスで実装する方式
     □ワンチップマイコン
      シリアルやタイマ、パラレルI/Oなど周辺I/Oをワンチッ
      プ化したマイコン、CPU
    ………………………………………………………………………

 パソコンのプログラミングのみ経験のある方は、[7]のようにプロセ
 ッサがスタックを持たないのは、考えにくいかと思います。スタック
 を持たないプロセッサは、小規模のコード利用を前提に考えられたプ
 ロセッサなどに見られるものです。

 このような場合、通常、コンパイラを利用せず、アセンブラでコード
 を作成するのですが、中には、このようなプロセッサを使いながら、
 ある程度大きい規模のプログラムを作成するためにコンパイラが採用
 される開発プロジェクトもあります。

 スタックを持たないプロセッサの場合には、スタックを利用して作成
 される自動変数などを使わずに効率的にメモリを利用しなければなら
 ないので、プログラム全体のメモリ利用効率を最適化する必要が生じ
 ます。

 今回は、開発ツールのお話より、メモリアクセスに関する事情のご紹
 介に終始してしましました。

 それでは、次回もよろしくお付き合いください(^^)。

  ▼ARIは、デジタル機器のハードウェア、ファームウェアの開発を
   お手伝いしています。
  http://www.ari-web.com/develop/index.htm

………………………………………………………………………………………
■2.サウンド(15) パソコンのサウンド機能
………………………………………………………………………………………
 このコラムは、音や音響についてのコラムをお届けしています。

 先月、パソコンのオーディオ機能はユーザーに重視されていないとい
 うマーケティングのアンケート結果記事が発表されていました。

  ▼「パソコンの音環境、あまり重視されていない?」
   japan.internet.com デイリーリサーチ 2002年9月20日
   http://japan.internet.com/research/20020920/1.html

 「パソコンの音環境はあまり重視されていない」という傾向は程度の
 差こそあれ事実かと思います(アンケート事態の結果とは関係なく)。

 他の分野の製品、自動車や、TVなどを考えて見ると、必ずしも、カー
 オーディオが充実している自動車ばかりではありませんし、TVの内蔵
 スピーカも音質が重視されている物が全てではないように、パソコン
 の内蔵音源やスピーカも、たとえパソコン市場が成熟して、完全にAV
 機能の利用が一般的になったとしても、重視しない人はある程度以上
 の割合で存在することになるのではないでしょうか。
 
 パソコンメーカーの競争も、秋のモデルでは、DVDとTVチューナーな
 どを付属するモデルなどが各社用意されるなど、パソコンの家電化傾
 向は、まだまだ、促進される傾向にあるようです。

 先日、SONYのプレイステーションにHDビデオレコーダーの機能を搭
 載する計画があるらしいとの噂が流れていましたが、家庭用ゲーム機
 とTV、パソコン、電話、AV家電などの境界線が、ますます、はっきり
 しなくなってきています。

 最近、DVDをパソコンで(少し古いモデルです)再生して見てみました
 が、オーディオのミキサー設定を変更しないと、音声がクリップして
 いたり、警告音のボリュームが最大レベルで出力され、ドッキリする
 など標準OSのオーディオに関する部分では、不満な仕様も多々ありま
 す。(オーディオ性能を謳っていないモデルだと音質うんぬんという
 以前の音ですし...)

 DVDドライブ搭載がスタンダード化してきていますから、音質や画質
 などAVの能力の向上も期待できるといいたいところですが、価格競争
 の熾烈さ、パソコンの世代交代の速さ、利用目的などを考えると、ま
 だまだ、十分なオーディオ性能を持ったパソコンがスタンダード化(
 特化したモデルは音質も良いでしょうが)するには時間がかかりそう
 な気がします。

 ユーザー動向に敏感な量販店やTV通販がウェイトを置かない機能は、
 一般的に重視されていないのだということは明白です。

 もし、オーディオ環境が重要とされる傾向が強ければ、深夜にTV放送
 されているTVショッピングのパソコンは、AV性能が良いことを強力に
 プッシュしているはずですが、そのような販売方法は取られていませ
 ん。販売促進に付属する周辺機器も、プリンタ、スキャナだったりし
 ますし、付属ソフトも、ワード、エクセルだと強調していることが多
 いと思います。

 AV機能がスタンダードに強化された時、本当にパソコンならではの
 音響機能が工夫され、新しい展開も見られるかもしれませんから期待
 しているのですが...

 それでは、次回もよろしくお付き合いください。(^^)
 
  ▼前回までの内容は、バックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/index.htm
 
………………………………………………………………………………………
■3.3GPP音声通信(9) 受話歪特性
   Receiving Distortion
………………………………………………………………………………………
 前回は送話感度周波数特性のお話ををさせていただきました。今回は
 音声通信の第9回 受話歪特性です。

  ▼前回までの内容はホームページのバックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/

 ■6.受話歪測定 Receiving Distortion

 前回の送話歪測定(Sending Distortion)が送信経路の歪の規定と
 測定方法であったのに対して、受話歪測定(Receiving Distortion)
 は、受信経路の規定になります。

 受話歪測定では、ハンドセットから出力される音声信号の音量に応じ
 た歪成分を測定します。歪成分とは、測定用ダミーヘッドの人工耳内
 マイクロホンに入力された周囲の環境騒音や伝送経路のノイズなど全
 ての成分が含まれます。

 この歪成分と受信した音声信号との差を分析するのが受話歪測定です。

 3GPPで規定されている受話歪規格値は次のようになっています。

 (信号レベル) (規格) 
 −45dBm0 17.5dB以上(約13.3%)
 −40dBm0 22.5dB以上(約7.5%)
 −30dBm0 30.5dB以上(約3%)
 −20dBm0 33.0dB以上(約2.1%)
 −10dBm0 33.5dB以上(約2.2%)
  −3dBm0 31.2dB以上(約2.7%)
   0dBm0 25.5dB以上(約5.3%)

 ( )内は基準信号に対する歪成分の割合を%に換算した値です。 

    …… dBm0 ……………………………………………………
 dBm0という値は、ある基準点に対して相対値で表した
 dBm値です。

 3GPP測定の場合この基準点とはPOIを示しており、
 試験信号などをPOI点に入力して信号出力点とPOI
 点との間に減衰がなければ、通常のdBmとして扱うこと
 ができます。

 例えば、−16dBmの試験信号出力に対してPOI点
 で−3dBの減衰がある場合は、
 −16dBm0=−13dBmとなります。
    ………………………………………………………………………

 送信歪の時と同様、受信する音声の基準信号に1004〜1025
 Hz内の正弦波を使用します。

 基準信号をハンドセットの受話器で受信し、受話器から出力される
 基準信号のレベルと基準信号を除く全周波数成分のレベル(歪成分)
 との差で求めます。

 測定は−45dBm0〜0dBm0までの10段階のレベルで行い
 受話歪を評価するよう規定されています。
 
 エー・アール・アイは3GPP(+GSM,PDC)音響測定に対応し
 た「3G携帯通信開発用音響測定システム MTA−01WB−S」
 を開発・発売しています。

  ▼製品情報 MTA-01WB-S(3G、GSM、PDC対応)
   http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-3gpp.htm
  ▼MTA−01WB(従来機能3G対応)製品情報
   http://www.ari-web.com/mobile/index.htm

………………………………………………………………………………………
■4.液晶ディスプレイと高級AVアンプ(URLクリッピング)
………………………………………………………………………………………
 WEB参照可能な掲載記事などから毎日伝えられるニュースや記事から
 気になる情報や、翌日には埋もれてしまいそうな記事をピックアップ
 してご紹介しています(このメールマガジンの発行周期が隔週という
 こともあって新しい記事ばかりではありません)。

■シャープが、変光レンズなどをかけなくても立体視できる液晶ディ
  スプレイを発表しました。

 ▼シャープが2D/3D表示を切り替えられる液晶ディスプレー発表
   CNET Japan Tech News 2002年9月27日
 http://japan.cnet.com/News/Infostand/Item/2002-0927-J-1.html

 ■もう1つ液晶ディスプレイの発表ですが、オーセンティックがNEC
 アクセステクニカと共同開発した平面スピーカを液晶ディスプレイに
 組み入れた画面から音が出るパソコン用液晶ディスプレイを発表しま
 した。NECからパソコン用のディスプレイとして発売されるようです。

  ▼画面から音が出るパソコン用液晶ディスプレイを開発
  オーセンティック プレスリリース 平成14年9月17日
  http://www.authentic.co.jp/press/index.html

 ※「ディスプレイ」と「ディスプレー」の表記が混在していますが、
 元の記事タイトルなので、そのままの表記でご紹介しているためです。

 ■ビクターが、テキサス・インスツルメンツ社の64ビットDSP TMS320-
  DA610"AureusTM"を搭載した高音質・高機能のAVアンプを発表しまし
  た。スペックはかなり凄いことになっています。しかも、冷却ファン
  なしです。

 ▼AVコントロールアンプ 「AX-V8000」
   ビクター 2002年9月30日 報道発表
  http://www.jvc-victor.co.jp/products/hifi/AX-V8000.html

 「K2テクノロジー」「CCコンバーター」など同社のハイエンド・オー
 ディオ技術の対応はもちろんですが、ホームシアターのデコード機能
 は「THX ULTRA 2」対応を筆頭に、「THX SURROUND EX」「DTS96/24」
 「DTS-ES」「DTS NEO:6」「ドルビーデジタルEX」「ドルビープロ
 ロジックII」「MPEG2-AAC」...と網羅せんという多機能ぶりです。

 D/Aコンバーターも全チャンネル192KHz/24bit対応で、A/Dも2チャ
 ンネルは192KHz/24bit対応、真鍮削り出し金メッキスピーカー端子
 だそうです。Hi-Fiオーディオのユーザーを満足させようという気概を
 感じるような製品ですね。

 高級機種だけに、ちと高いですが...(^^;

………………………………………………………………………………………
■編集後記
 非常に注目されているJPEGの特許問題についてのニュースがいくつ
 か報道されています。

 青色LEDの特許紛争、味の素の研究員の紛争特許ニュースと、連続し
 て特許関連のニューズが報道されていますが、JPEGの場合には個人
 や1企業の紛争ではなくWEBやデジタルカメラ、デジタル画像機器
 に広く採用されていますから、大変多くの人が経済的にも影響を受
 ける特許となります。

 この特許問題が最終的にどのような決着を見るのかは解りませんが、
 特許ライセンス行使の営業的手法としては、広く普及した段階で行使、
 権利主張を行なうのは大変有効な手段ですので、以前にも増して、
 サブマリン特許に限らず、公開時に気が付かないまま申請取得された
 特許のライセンス行使の危険度が高くなっているのを痛切に感じます。

 JPEG特許が先ほどニュース報道されたように、日本の特許庁では、
 拒絶査定された技術であるというのが認められれば、特許成立しない
 のですが...

 それでは、次回10月17日Vol.16もよろしくお願いします。

                         ARI A&S 編集部



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