オフショア開発(前編)

アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ vol.64
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音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
ARI CO.,LTD.
アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ

オフショア開発(前編)

64

メールマガジン「アメニティ サウンド 音と快適の空間へ」は、現在、休刊中です。 バックナンバーのコラムの内、サウンドコラムと技術開発コラムは、 サウンド、技術開発コラム に再編集、一部加筆修正して掲載していますので併せてご利用ください。

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■ アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ【Vol.64】2004年11月18日
□    オフショア開発(前編)
□    http://www.ari-web.com/
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 ■配信遅延のお詫び
 このVOl.64は11月18日(木)に配信の予定でしたが、配信遅延となり
 大変申し訳ございません。

 □…… CONTENTS Vol.64  ……………………………………………

  ■1.技術と開発の閑話 - 29 -
    ソフトウェアの標準と部品化 -9- オフショア開発(前編)
  ■2.サウンド - 61 -
    デジタルアンプとデジタルスピーカ
    -6- デジタルスピーカの特徴(2)
  ■3.3GPP音声通信 - 57 -
    ITU-T P.313音響規格  − 送話利得測定
  ■4.音に誘引される蚊
    (URLクリッピング)

 ………… はじめての方へ ………………………………………………
  ご登録ありがとうございます。「アメニティ&サウンド 音と
  快適の空間へ」は隔週(第1、第3木曜日)にお届けしています。
  内容を充実できるように努力いたしますので末永くお付き合い
  いただけますようお願い申し上げます。

□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■1.技術と開発の閑話 - 29 -
   ソフトウェアの標準と部品化 -9- オフショア開発(前編)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□■
 前回、前々回と番外編でF1の話題をはさみましたが、ソフトウェア
 開発の話題に戻ります。

 「ソフトウェアの標準と部品化」とテーマを付けていますが、連続性
 があって一連によって論旨に完結するというようなものではなく、単
 に、一群の関連した話題という程度の意味でつけているだけです(万一、
 何らかの結論などをご期待いただいてお付き合いいただいていたとし
 たらご容赦ください)。

  ▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/

 □……………………………………………………………………………
  オフショア開発の難しさ?
  ……………………………………………………………………□■□

 数年前からコストダウンのため日本でも、中国やインドなどの企業
 に外部開発委託するソフトウェアのオフショア開発が色々な分野で
 行われています。

 残念ながらプロジェクトが成功裏に完了したものは多くは無いとい
 う状況のようですが、@ITに「中国オフショア開発の成功と失敗の
 実態」という記事があります。

  ▼オフショア開発時代の「開発コーディネータ」(2)
   中国オフショア開発の成功と失敗の実態
   @IT - 情報マネジメント - ITスタッフ
  http://www.atmarkit.co.jp/fbiz/cstaff/serial/offshore/02/01.html 
 
 「なぜ日本は中国で失敗し続けるのか?」「中国オフショア開発の
 失敗例」「中国オフショア開発の成功例」など、オフショア開発の
 難しさなどが記事にまとめられています。

 記事中の「中国オフショア開発の失敗例」(Pgae3)に上げられてい
 る失敗要因の例には、確かに国や言語などの違いによるものもある
 のですが、いくつかは日本の企業であってもそのまま当てはまるよ
 うな内容も含まれています。これは成功例も同様です。

 実際の声をピックアップして例示されているのだとは思いますが、
 オフショア開発でなくても外部に開発委託するにあたっての問題
 がクリアできていないことに起因している例が多いように感じます。

 作業と検収の分業の性質上、仕様書を元に詳細設計と実装、テスト
 を分業するという形が最も多い形態だと思いますが、設計仕様変更
 に対する扱いや、仕様書の不備に起因するテストでの不具合などの
 扱い、実装や作業量的に困難にする仕様上の問題などが発生した場
 合に責任の所在や、納期、費用などがどのように扱われているかと
 いう点に帰着しそうな内容です。

 一般に、関係が浅い外部企業に開発委託する場合には、中国に限ら
 ずアメリカでも、国内であっても、作業内容(仕様、分担)や検収条
 件がシビアになり、契約による関係性が強くなります。

 しかしながら、国内の場合には、日本の商習慣などから受託企業が
 変更などの費用を負担したり、そのような負担が必要になると見込
 みを含んだ見積としていたりすることで、オフショア開発で感じら
 れたような障壁が存在しなかったのかもしれません。

 海外の場合には、人の流動性も高いのでリーダークラスといえども
 プロジェクトマネージャーといえども当初予定を超えたりするよう
 な場合、先方の企業が継続確保できないことは決して珍しいことで
 はないように思います。途中で有能な開発人員が変更されることも
 覚悟が必要かもしれません。

 プロジェクトを成功させた場合にインセンティブがあるものの方が
 成功する可能性が高いとは思いますが、決して労働対価や利己利益
 だけで動いているわけでもなく、国内のようにロイヤリティを持つ
 人も高い信頼関係が築くことができる場合もあると思います。

 しかし、記事に例示してあるような「連絡票で仕様変更通知」や、
 「開発標準マニュアルに問題がある場合」などは、日本でも通用し
 ない可能性があるケースで問題が発生する可能性が高いことは明白
 です。

 それらの基本的な問題をクリアしても、なお難しくなってきている
 オフショア開発の課題とライブラリや標準との関連について、次回
 につづきます。

 それでは、次回もよろしくお付き合いください。(^^)
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  ▼ARIはアプリケーションソフトやデジタル機器の開発などを
   お手伝いしています。
  http://www.ari-web.com/develop/index.htm


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 ■2.サウンド - 61 - 
   デジタルアンプとデジタルスピーカ -6-
   デジタルスピーカの特徴(2)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□■
 このコラムは音や音響機器などについての話題をお届けしています。

 ヤマハからデジタル・サウンド・プロジェクタという40個のスピーカ
 アレイで仮想音源を作るホームシアター向けの製品が発売されます。

  ▼ヤマハ、壁や天井に音を反射させる5.1chシステム
  −音波のビームを放出し、1筐体で5.1chを実現
   インプレス AVウォッチ 2004年11月16日
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20041116/yamaha.htm

 以前から、仮想音源(バーチャルサラウンド)を作るタイプのコンシ
 ューマ製品はありますが、スピーカ・アレイを使ったものは記憶に
 ありません(トールボーイのスピーカの多いものとは性質が違います
 し、他者のスピーカ・アレイ製品は家庭用製品ではなかったと思い
 ます) 

 3つのプリセットモードで動くとのことですが、40個のスピーカを
 もう少し自由に制御できるような製品だったらユニークに音像を作
 って楽しむということもできて面白いかもしれません(ゲームなど
 で使えるようにしてあげると嬉しい人もいるでしょう)。

 □……………………………………………………………………………
  デジタルスピーカの特徴(2)
  ……………………………………………………………………□■□
 さて、前回に続いて、デジタルスピーカの特徴について続けます。

  ▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/

 デジタルスピーカは、伝送経路がデジタル信号になることが最大の
 特徴であることは言うまでもありませんが、それに伴って信号配線
 がパワーラインではなくなることの利点があるということを述べま
 した。

 デジタルの信号線は、ノイズ耐性が強いというだけでなく、例えば
 光ファイバーのように伝送線も利用できますし、出力信号線として
 だけでなく、双方向の通信線にしたり、ネットワーク化するなど、
 高度な応用が単純な配線で可能になります。

 信号に複数の音声信号を送出してスピーカ配線を簡略化することや
 事故に備えて多重経路による配線をすることもパワーラインで実現
 するよりも容易です。

          ┏━━━━┓
   信号 ──┬→┃スピーカ┃ 複数のスピーカを
        | ┗━━━━┛ 1本の信号線から分配
        | ┏━━━━┓
        ├→┃スピーカ┃ 別の経路も配線することで
        | ┗━━━━┛ 万一の断線事故時などでも
        | ┏━━━━┓ 1箇所の破損で全てが停止
        └→┃スピーカ┃ することは回避できる
          ┗━━━━┛ 

 商用施設などで広範囲や多数のスピーカを設置している場合、個別
 に故障の検出をするための仕組みが必要ですが、デジタル信号線の
 場合には、通信線と信号線を兼用とすることが可能なため(仕様によ
 りますが)故障検出経路も簡略化できます。

 ■DSPの搭載
 ………………………………………………………………………□■□ 
 デジタルスピーカにDSPを搭載することで、スピーカの補正や音場
 調整のためのディレイやEQ、コンプレッサやリミッタなどの調整用
 の機能を個々のスピーカに内蔵させることができます。

 調整機能を内蔵すると、放送用機械室にはアンプや調整用信号プロ
 セッサなどが不要になりますから、かなり小規模にすることができ
 ます(分散するデメリットが生じるかもしれませんが、元々スピーカ
 の位置にはスピーカがありましたから)。

 スピーカは通常、複数のスピーカで1つの音場エリアが作られるこ
 とが多いのですが、ディレイなどの調整が異なるため、同じ音源ソ
 ースを流すとしても同じ信号線を分配するということはできません。

 DSPを内蔵し、調整をスピーカで行うようにすると、同じグループ
 の音源ソースは1種類の信号で良いことになりますから、先に述べた
 ような分配配線も多チャンネル信号を扱うことができるからというば
 かりではありません。

 多チャンネルを伝送するためには、高速なデータ転送速度が必要にな
 りますが、同じ信号で済んでしまうために実際には放送されている元
 のチャンネル数分の回線のいくつかを送信できれば良いことになりま
 す(全てを1本でチェイン接続するというわけには行かないと思いま
 すから冗長性を持たせる意味でも)。

 それでは、次回もよろしくお付き合いください。(^^)
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  ▼ARIは音響機器の開発や電気音響システムの設計、測定をお手伝
   いしています。
  http://www.ari-web.com/develop/index.htm

□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■3.3GPP音声通信(57)
  ITU-T P.313音響規格  − 送話利得測定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□■
 2004年度8月の移動電話国内出荷実績が(社)電子情報技術産業協
 会JEITAの統計情報で発表されました。移動電話国内出荷数量は前
 年度比78.6%と8ヶ月連続のマイナスとなっています。

 携帯・自動車電話は3,224千台、前年比80.8%と8ヶ月連続のマイナ
 スを記録しています。公衆PHSは前年比22.5%とこちらも依然として
 に低迷が続いています。

  ▼統計資料-2003年度移動電話国内出荷実績に掲載されています。
   (社)電子情報技術産業協会 JEITA
  http://www.jeita.or.jp

 JEITAは携帯:自動車電話は人口普及率が高く、買替需要中心の市
 場になっているために、第三世代機の動向が出荷実績の数字を大き
 く左右ししているとコメントしています。

 □……………………………………………………………………………
  ■10.Sending Variation of gain with input level
   (送話利得)
  ………………………………………………………………………□■□
 前回はITU-T P.313規格の受話雑音測定についてでした。
 今回は、送話利得測定についてです。

  ▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/

 ITU-T P313規格とはPDC方式の携帯端末の音響性能を評価する上で
 望ましい測定項目が揃っている音響規格です。

  ▼ITU-T規格については以前にご紹介しました。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030515.htm

 送話利得測定とは、送話方向の利得(GAIN)を評価するための測定で
 す。利得(GAIN)とはMRP点での入力音圧レベルとPOI出力点での出力
 電圧レベルの差より算出した値と定義されています。

 本来、入力 vs 出力は直線性を持っていますが、この測定では非直
 線を発生させる送話伝送経路の歪を評価しています。例えば、20dB
 の利得(GAIN)特性を持つ伝送経路において入力レベルAではPOI出力
 点で20dB得られているが、入力レベルBでは15dBしか得られていな
 いなどと評価するという事です。歪の影響による利得(GAIN)の評価
 を行う訳ですから送話歪特性とも密接な関係を持っています。

  ▼(参考)GSM送話歪測定について
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030918.htm

 測定は送話歪測定と同様、LRGP(テストヘッド)を使用して行いま
 す。測定環境については特に規定されておりませんが、定量化でき
 ない騒音下での測定結果は評価ができないので、騒音に対して独自
 に定量化基準を設けて評価するか、無響室などで測定することにな
 ります。ちなみに3GPP規格では、特殊な測定を除き測定環境は
 64dBspl(A)以下の環境で測定する様に規定されています。

 基準信号には1004〜1025Hzの範囲の正弦波を使用して行います。
 基準信号に1kHz付近の周波数を使用するのは、人間の聴感の感度が
 高い周波数であるためです。

 測定ではMRP点の入力音圧の変化に伴う、POI点の出力電圧より利得
 (GAIN)を評価するので、MRPの入力音圧レベルは低いレベルから高い
 レベルまでの10段階(-30〜+13dB relative to ARL)で行います。
 レベル毎にMRP点での入力音圧とPOI点での出力電圧よりGAIN(利得)
 を算出します。

 (送話利得の計算式)
  送話利得[dB] = 20 log ( POI点の出力音圧 / MRP点の音圧レベル )

 計算により求めた利得(GAIN)特性はGSM規格で規定されたマスクカ
 ーブの範囲内に収まっているかで評価します。
 送話利得特性のマスクカーブは以下の範囲で規定されています。

  Send Level[dB] Upper limit Lower limit
  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    +13      1       -11
    + 4      1       - 2
    -10      1       - 2
    -20      1       - 5
    -25      1       - 8
    -30      1       -12
    -30      6       -∞
  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  ※Snend Level : dB relative to ARL

  ▼ARLについては以前にご紹介させていただきました。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030306.htm

 マスクカーブの上下限値は測定により求められた利得(GAIN)特性カ
 ーブに対しての相対値となります。特性が範囲内に収まっていれば
 通話において望ましい利得(GAIN)が得られていることになります。

 次回は受話利得測定についてお話させていただきます。

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  ▼ARIは3GPP,GSM,PDC音響測定に対応した「3G携帯通信開発用
   音響測定システム MTA-01WB-S」を開発・販売しています。
  http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-3gpp.htm

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 ■4.音に誘引される蚊
    (URLクリッピング)
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 WEB参照可能な掲載記事などから毎日伝えられるニュースや記事か
 ら気になる情報や翌日には埋もれてしまいそうな記事をピックアッ
 プしてご紹介しています(このメールマガジンの発行周期が隔週と
 いうこともあって新しい記事ばかりではありません)。

 □……………………………………………………………………………
  ■音に誘引される蚊
  ………………………………………………………………………□■□
 いままで色々な科学系の雑誌やTV番組などでも蚊は、二酸化炭素や体
 温などに反応して集まる(誘引)と紹介されていたり判りやすい追実験
 などをしてみせる物を見かけました。

 11/12のニュースによると鳴き声などの音でも集まることが発見された
 そうです。

  ▼音に誘引される蚊確認 宮城琉大名誉教授
   Yahoo!ニュース 11月12日
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041112-00000013-ryu-oki

 「音による誘引は世界で初めての発見」とのことですから、初耳なの
 も当然ですね。従来の説を否定するものではないので認識を改める必
 要はなさそうです。

 実験はカエルでの結果ですが、鳥などでも同様か調べるとのことです
 から鳥や哺乳類などでの実験結果もそのうち発表されることでしょう。

 蚊が鳥類、哺乳類の病原ウィルスの感染を媒介する可能性もあります
 から、たとえ人の音に対しては反応することがなくても、その習性を
 発見することは大変重要でしょう。

 昨今の異常気象、特に温暖化によって東南アジアの蚊が日本でも生息
 するようになっていると言われています。新種の感染症ウィルスなど
 が発現した時、以前より種類が増えている分、感染拡大の危険度が高
 くなっているかもしれません。

 □……………………………………………………………………………
  ■地球温暖化関連
  ………………………………………………………………………□■□
 温暖化現象の話が出たところで、温暖化関連の記事をいくつか拾い読
 みしてみます。

  ▼大気中CO2濃度が急上昇 過去2年間で、日米観測
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041108-00000026-kyodo-soci
  ▼3日に1回は真夏日に 今世紀末、温暖化で予測
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040916-00000189-kyodo-soci
  ▼Yahoo!ニュース サイエンストピックス 地球温暖化問題
  http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/science/global_warming/

 環境問題を別にしても気象現象は人の社会現象に多大な影響を与える
 ため地球シミュレーターなどの気温予測のための計算シミュレータの
 研究は商社などの企業でも行われています。

 シミュレーション結果と過去のデータとの照合と合わせた予測結果は
 TVや雑誌などでも見かけるのでご覧になる機会も多いかと思います。
 また、今年公開された映画"The Day After Tomorrow"もありますの
 で地球温暖化現象に伴う劇的な寒冷化現象の予測などもポピュラーな
 ものになっているかもしれません。

 過去との照合データなど割といい線で観測データとも相関していて予
 測精度も高いのではないかと予感させますが、これには問題点が含ま
 れているかもしれません。紹介されているグラフを見ると多くは11
 年周期の太陽黒点周期の影響と温室効果ガスが支配的なカーブになっ
 ていることが判ります(シミュレーションを否定しようという主旨で
 はありませんので特定の結果をリンクはしません。シミュレーション
 検討は有意義だと考えています)

 シミュレーションの入力にCO2量と増加見込みという条件が与えられ
 ていますが、CO2の量が与える温暖化への影響ということは、確証が
 得られているというわけではなく、逆に気温に対してCO2量が遅れて
 相関変化しているという観測データも発表されています。

 CO2と気温の変動に相関があることは間違いなさそうですが、もし、
 気温が高くなったことでCO2が増加するという関係が強いのであれば
 予測グラフは「CO2の増加仮定」に対する気温上昇が支配的ですから、
 主要因が無いに等しくなります。相関関係について専門家の意見が分
 かれているようです。

 多くの観測結果などから、現在、温暖化傾向にあるとされています。
 砂漠化や酸性雨など大気や気温の影響によると思われる自然環境の
 変化は大きな問題となっています。しかし、異常気象が人為的CO2
 増加に起因すると科学的に決定づけることは難しそうです。
 
 人為的なCO2排出量を削減することは必要なのだと思いますが、温暖
 化には別の要因もあるかもしれません。主要因が別に存在していた場
 合にはCO2を削減しただけでは抜本的な対策とはなりません。

 長期的な気象現象で考えると、依然として地球寒冷化過程にあるとい
 う説もありますが、気象のメカニズムは完全に理解できているわけで
 はありません。

  ▼温室効果ガスの影響は予想以上?
   Hotwired Wired News 2004年10月29日
  http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20041101305.html

 以前にこのコラムでも述べましたが、自然現象は単調増加や単調な周
 期現象よりも、もう少し複雑な要因による複雑な挙動や劇的な変化を
 見せることの方が多いように思います。

 諸事情を見ると、よく語られるようなCO2との単純な相関のみの要因
 によって温暖化現象とそれに伴う異常気象を引き起こしているように
 は思えないのですが皆様はいかがでしょうか。

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 ■編集後記
 前回、CNetに掲載されているF1チーム、マクラーレン・メルセデス
 のIT関連の記事を技術コラムで話題にしていますが、同じCNetに、
 「トヨタモータースポーツにおけるインテリジェントな情報管理」
 というホワイトペーパーや、フェラーリのエレクトニクス関連の
 責任者のインタビュー記事があります。

 ▼トヨタモータースポーツにおけるインテリジェントな情報管理
  CNET Japan ホワイトペーパーライブラリ【要無料登録】
 http://paper.japan.cnet.com/abstract.htm?wpn=706&tag=nb

 ▼フェラーリ流F1マシンのハイテク・チューンアップ
  CNET Japan 2004/09/09 インタビュー
 http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000050154,20072563,00.htm

 フェラーリはAMDとパートナーシップなので、AMDの広告記事的
 な内容かと予想したのですが、

  「開発用ソフトウェアは何をお使いですか」
  「レースカーとPC間の通信はどのように行っているのですか」
  「通信プロトコルには何をお使いですか」

 というような「秘密です」といわれそうな質問にも

  「レースカーの制御用ソフトは、Cとアセンブラで開発…」
  「解析やシミュレーション用ソフトは主にMatlab…」
  「C++、Delphi、Visual Basicなどを使用することも…」

 通信の回答では、専用のログ用コントローラが、データをメモリに
 格納すると同時にテレメトリー転送用のデータを作成する」など具
 体的な内容も少し入ったちゃんとした回答をしています。

  「Schumacherの圧倒的な強さに、ITがどの程度貢献していると
     思いますか。」
  「McLaren-Mercedesや他のレーシングチームがデータにアクセス
     できないように何か対策を講じていますか。」

 などのユニークな質問もありますが、これにも「ロンデニスがアク
 セスしたら嘘を流すようになっている」というようなジョークで返
 したり「内緒(笑)」で終わることなく真摯に回答されています。

 分野が違うことが功を奏しているのかもしれません(専門だと知識
 を駆使して推測記事を書かれるかもしれませんし迂闊なことは言え
 ないでしょうから)。

 それでは、次回2004年12月2日Vol.65もよろしくお願いします。
                        ARI A&S 編集部

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