録音テープの「肉声」、電車内での携帯電話利用

アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ vol.37
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音響技術とソフトウェア、ハードウェア開発

音響と開発 : Sound & Development
株式会社エーアールアイ / ARI
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アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ

録音テープの「肉声」、電車内での携帯電話利用

37

メールマガジン「アメニティ サウンド 音と快適の空間へ」は、現在、休刊中です。 バックナンバーのコラムの内、サウンドコラムと技術開発コラムは、 サウンド、技術開発コラム に再編集、一部加筆修正して掲載していますので併せてご利用ください。

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■ アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ【Vol.37】2003年9月4日
□    録音テープの「肉声」、電車内での携帯電話利用
□    http://www.ari-web.com/
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□はじめての方へ、
このメールマガジンのご登録をいただきましてありがとうございます。
「アメニティ&サウンド 音と快適の空間へ」は、隔週(第1、第3木曜日)
にお届けしています。内容を充実できるようにがんばりますので、末永く
お付き合いいただけますようお願い申し上げます。

 ■□■□■ CONTENTS Vol.37 □□□□□□□□□□□□□□□□□

  1.技術と開発の閑話(2)
   「ありえない」(中編) - バックアップ -
  2.サウンド(35)
   録音テープの「肉声」
  3.3GPP音声通信(30)
   GSM音響規格−受話感度周波数特性
  4.電車内での携帯電話利用(URLクリッピング)

………………………………………………………………………………………
■1.技術と開発の閑話(2) 「ありえない」(中編)
………………………………………………………………………………………
 今回も、安全機能-フェイルセーフについての話題の続きです。

  ▼前回までの内容をご希望の方はバックナンバーをご覧ください。
   (9/4現在、前回vol.36は未掲載です。すみません。近日中に掲
   載する予定ですが、vol.36については配信サービス各社のバック
   ナンバーでご覧いただけます)
  http://www.ari-web.com/mm/bn/index.htm

 ■バックアップ

 2003年8月14日の北米の大停電に関連してフェイルセーフに関連した
 話をしていますが、米エネルギー省の長官のコメントでも、「完全な
 原因究明へ時間かける」とのことで、原因について現時点でも解明、
 発表されていません。

 北米広域停電の例では、根本的な原因は不明ですが、フェイルセーフ
 と、発電所停止時のバックアップによって結果的により規模が拡大し
 たことは確かでしょう。

  ▼さらに関連続報が続いていますが...
   Yahoo!ニュース - 海外トピックス - 北米大停電の関連ニュース
  http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/massive_blackouts/

 ネットワークのサーバー負荷分散などでも、失敗して連鎖するケース
 というのが見られる場合があります。ネットワーク型の相互に補うタ
 イプのフェイルセーフは、極小な問題がネットワーク全体を破綻させ
 るような現象を生み出すことがあるためフェイルセーフの連鎖が収束
 できるかを考慮する必要があります。

 いまさら言われるまでもない問題ともいえますが、その設計時の考え
 方には、各種のシステムの異常対策全般に通ずるものがあると考えて
 います。

 ある程度以上の規模のシステムでは、クローズドなソフトウェア、シ
 ステムだけで成立していることは少なく、複数のソフトウェア、ハー
 ドウェアが協調してシステムを成立させています。

 また、1つの機器の内部のソフトウェアに規模を縮小しても、複雑度
 がある程度以上になれば、同様に部分的なロジックの集合体となり、
 協調型のシステムと類似した考え方が必要となります。マルチタスク
 で動作している場合などは、その最たる例といえます。

 協調型の場合、部分的な論理は局部にとどめるという設計方法が適し
 ていますが、この、局部での問題解決の方法や条件によっては、北米
 広域停電のように連鎖が収束しなくなるような現象に発展します。

 発電所のそれぞれの条件、問題解決方法は単純明快です。

  ・過大負荷は火災や故障となるので未然に停止とする
  ・送電停止が発生した場合には、他がバックアップして電力を補う

 この2点は、問題なく正しい対処方法と思えますが、バックアップし
 たことでバックアップ側が過大負荷になる可能性と、その場合の収束
 手段がなく安全停止の連鎖と止められない点が問題でしょう。

 このような相互補完のパターンや、2重に障害が発生した場合の想定
 というものは発電所に限ったことではありません。

 それでは、次回もよろしくお付き合いください(^^)。

  ▼ARIは、デジタル機器のハードウェア、ファームウェアの開発を
   お手伝いしています。
  http://www.ari-web.com/develop/index.htm

………………………………………………………………………………………
■2.サウンド(35) 録音テープの「肉声」
………………………………………………………………………………………
 このコラムは音や音響についての話題をお届けしています。

 イラク問題などの報道で「フセイン元大統領の肉声と思われるテープ」
 などという表現を良く見かけます。録音したテープの音は肉声か?と
 いう点が少し気になりますが、ニュースでは軒並み「肉声」とされて
 いるので「肉声」の定義は生の音に限らず「本人の音声」という意味
 に拡大されているのだと思います。

 一般の認識ではどうかという参考までにGoogleで「肉声とは」と検索
 して見ると、「肉声とは異なる電話...」や「肉声とは異なる人工の
 音声」などという記載が目につきます。

  ▼Google(キーワード付きはアドレスが長いので、スミマセン)
  http://www.google.co.jp/

 この2つは、かなり異なる境界を「肉声」の境界としており、「電話」
 の境界の場合には、録音テープも含まれる分類になり、「人工の音声」
 の場合には、人が話した音声であればメディアや通信を媒介した音声
 でも「肉声」とみなされるという認識です。

 三省堂提供「大辞林 第二版」をサービス提供しているGooの国語辞典
 で「肉声」を調べると「マイクなどを通さない、人間の口から出たそ
 のままの音声。」となっており、本来の「肉声」の意味のみが記載さ
 れていますので、「録音テープの肉声」は新しい語義としての用法で
 す。
  
 ▼goo 辞書 「肉声」
 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%C6%F9%C0%
BC&kind=&mode=0&jn.x=26&jn.y=3

 先のフセイン元大統領の音声の場合には「本人の音声」という意味で
 「肉声」とされていますので、「肉声」の意味に「本人の音声」(
 マイクを通しても良い)という意味に拡大されています。

 もっとも、「マイクを通さない」にこだわると、講演会やコンサート
 のPAを使った拡声音は「肉声」にはならなのですが、現在の感覚と
 しては、マイクを通しても「肉声」とされるだろうことは間違いない
 かと思います(目前で本人が話している音声は)。

 このコンサートなどのPAと同様の感覚としてTVの衛星中継で生で
 話している音声などが、やはり「肉声」という感覚に近いものがある
 かと思います。

 従来、電話は「肉声」とはされていないことが多かったように思いま
 すが、音声合成やTV電話などの発達と普及によって、電話など本人
 が話している音声は「肉声」ということに語義が拡大されるのが一般
 的となるかもしれません。

 それでは、次回もよろしくお付き合いください。前回までの内容は、
 バックナンバーをご覧ください。

  ▼バックナンバー目次
  http://www.ari-web.com/mm/bn/index.htm

………………………………………………………………………………………
■3.3GPP音声通信(30) GSM音響規格−受話感度周波数特性 
………………………………………………………………………………………
 8/28日、北京で行われていTD-SCDMA国際サミットで中国政府は自国
 開発の3G携帯規格TD-SCDMAを推進することを発表したようです。

 WCDMAやcdma2000を排他してと言及しているわけではないようで
 すが、国策の一環として何らかの規制や立法がなされれば、中国の
 3G市場ではTD-SCDMAの技術が必須となります。

  ▼e-Words : TD-SCDMA
  (Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)
  http://e-words.jp/w/TD-SCDMA.html

 中国自身もTD-SCDMAの現状が他方式より優れているとわけではない
 ことも認識しており、大きな市場(4月に携帯電話加入者数が2億人
 突破と発表されていました)を背景に国営企業の技術を普及させる
 ことを狙うということに尽きるのでしょうが、具体的にどのように
 「サポート強化」されるのかまでは言及されていないようです。

 今の所TD-SCDMA国際サミットでのことでもありますし...おいしい
 ことになる可能性もあるので、言うだけはいっておくといった所で
 しょうか。

 ドイツのシーメンス(Siemens)社は、2001から中国の大唐電信科技
 産業集団と共同開発などを行っていますが、中国政府の発表と同じ
 くして、中国の3G携帯電話の開発、製造、マーケティングを行う新
 会社を設立すると発表しました。

  ▼「支持を集める中国の独自3G技術」
   CNET Japan : 通信・放送: 2003年9月1日  
  http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000047668,20060701,00.htm

  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 前回は、GSM音響規格の送話感度周波数特性測定についてご紹介し
 ました。今回は受話感度周波数特性測定についてお話しします。

  ▼前回までの内容はバックナンバーをご覧ください。
  http://www.ari-web.com/mm/

 ■ 4.Receiving Sensitivity/frequency Characteristics
 (受話感度周波数特性)

 受話感度周波数特性測定は携帯端末の受話方向の低域から高域まで
 の周波数分布を評価するための測定です。

 測定内容については3GPP規格の場合と基本的には同じです。

  ▼3GPP受話感度周波数特性測定は以前にご紹介しました。
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20020905.htm

 測定にはLRGP(テストヘッド)を使用します。感度周波数特性は、
 端末で受信した音声の周波数分布をリファレンス値とし、受話器か
 ら出力される音声を人工耳にセットされたマイクロホンで測定した
 周波数分布との比によって求められます。

  ▼感度周波数特性の求め方(計算方法)は以前にご紹介しました。
  【送話感度と受話感度の計算】
  http://www.ari-web.com/mm/bn/20030220.htm

    …… 人工耳漏洩補正 ……………………………………………

     GSM規格はダミーヘッド(HATS)を使用した測定方法は規定
     されておらず、LRGPを使用した方法が規定されています。
     人工耳には密閉型(音の漏れが無いカップラーを使用した
     ものでType1と呼ぶ)を使用して測定するので実際に耳に
     携帯端末をあてた時の音の漏れまで想定した測定を行うこ
     とができません。

     このため、人工耳漏洩補正という実際の耳の漏洩特性を補
     正するための周波数重み付けが規定されています。
     
     密閉型の人工耳での測定も受話器から出力される周波数特
     性がそのまま測れるという利点もあります。

     人工耳漏洩補正カーブはITU-T P.79/Table2で規定されて
     います。
    ………………………………………………………………………

 計算により求めた感度周波数特性はGSM規格で規定されたマスクカ
 ーブの範囲内に収まっているかで評価します。受話感度周波数特性
 のマスクカーブ(ハンドセット/ヘッドセット)は次の範囲に規定
 されています。

 Frequency[Hz] Upper limit Lower limit
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   100     -12      ---
   200      0      ---
   300      2      -7
   1000      ---      -5
   2000      0      -5
   3000      2      -5
   3400      2      -10
   4000      2      ---
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 受話のマスクカーブは3GPPと異なっています。比較すると3GPPの
 方が範囲が緩和されている傾向にある様に思えます。

 次回は送受話歪測定についてお届けします。

  ▼ARIは3GPP,GSM,PDC音響測定に対応した「3G携帯通信開発用
  音響測定システム MTA-01WB-S」を開発・販売しています。
  http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-3gpp.htm

  ▼GSM端末音響システム 製品概要(MTA-01WB-S)
  http://www.ari-web.com/mobile/3g/mta01-wbs/info-gsm.htm

………………………………………………………………………………………
■4.電車内での携帯電話利用(URLクリッピング)
………………………………………………………………………………………
 WEB参照可能な掲載記事などから毎日伝えられるニュースや記事から
 気になる情報や、翌日には埋もれてしまいそうな記事をピックアップ
 してご紹介しています(このメールマガジンの発行周期が隔週という
 こともあって新しい記事ばかりではありません)。

 ■電車内での携帯電話利用
 電車内などの携帯電話の利用については、各社で様々な基準を設けて
 アナウンスやポスターなどで呼びかけられていますが、首都圏では、
 鉄道各社がルール、案内を統一すると8/29にリリースされました。

  ▼首都圏の鉄道17社、車内での携帯マナーの案内を統一
   インプレス ケータイWATCH 8/29ニュース
  http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/15449.html

 JR東日本, 小田急, 京王, 東武, 西武, 京成, 東急, 京急,
 営団地下鉄, 相鉄, 新京成, 都営地下鉄, 北総, 東葉高速,
 東京臨海, 東京モノレール, 埼玉高速の17社で統一とのことです。

 優先席付近では電源OFF。他のエリアはマナーモード設定、通話は無
 しというルールで案内されるようになります。全面的に通話はなしで、
 医療機器を持つ人に接近している可能性が高いエリアでは電源OFFと
 いうことですね。

 ペースメーカーなどの場合、優先席にいらっしゃるとはかぎらないの
 で、本当は、マナーモードの状態で近接している可能性もあるとは思
 いますが、利便性、マナーとの妥協点は、今の所、このあたりが落と
 し所のようです。

 携帯電話をはじめとする機器の電波、電磁波などの他の機器への影響
 や人体への影響などは、はっきりと結論づけられていませんが、どの
 ようなことも「無い」ことの証明は難しいので、結論が出せたとして
 も、「影響があるという実証」が無いということにならざる得ないで
 しょうから、マナー問題を除いても、現在のルールが長く適用される
 ことになるでしょう。

 インプレスの記事のリリースは、JR東日本のリリースがリンクされて
 います。京王電鉄のものにあわせているようですから京王電鉄のリリ
 ースをリンクでご紹介しておきます。

  ▼京王電鉄ニュースリリース 8/29
   「車内における携帯電話マナーのご案内の統一について」
  http://www.keio.co.jp/news/newsr/index030829v01.htm

 ■Lycos犬は、まだ残ってました
 前回、9/1のinfoseekとLycos統合について触れました。提携関係上、
 ライコス犬は廃止されると予想していましたが、しばらくの間、一部
 に移行のためにライコス犬が利用されるようです。

 infoseek側は+LYCOSのロゴとキャンペーン(infoseekユーザーとし
 て利用すると「楽天ポイント」が...)をしていて、ペットなどのサ
 ービスは、一応、移行されているようです(キャンペーンページにも
 犬がいました。旧Lycosガールの所にも小さくロゴに残っていますが)。

 旧ライコスをアクセスしても、基本的にinfossekになっているのです
 がトップページのサーチ窓のところが虫眼鏡ではなく犬がいます。

 この犬をクリックすると「ぼくがすすめるインフォシーク」というラ
 イコス犬のページが表示され移行説明になっています(連載となって
 います)。
 
 ▼インフォシーク "ぼくがすすめるインフォシーク"
 http://www.infoseek.co.jp/Special?pg=ly_dog_if.html&svx=100600&svp=LYCS

 このページには、旧ライコスのサービスページに小さく表示されてい
 る犬からリンクされているようです。

 さらに、9/1からinfoseekがロボット検索にGoogleを採用しました。
 まだ、infoseekのロボットと併用ですが、デフォルトはGoogleにな
 りました(サーチplusの表示部分はありますが)。

 infoseekツールバーでの検索もGoogleデフォルトでした。

  ▼インフォシーク 検索エンジンにGoogleを採用
   プレスリリース 2003年9月1日
  http://release.infoseek.co.jp/release/030901press.html

 無料ホームページのトライポッドの併合はどうなったかというと...
 倍サイズの広告にはなったものの、旧トライポッドページにはisWeb
 の3連発広告は適用されていないようです(isWebはそのままです)。

………………………………………………………………………………………
■編集後記
 Vol.35HTMLマンスリー版8月に予想についての話題をしましたが、
 前線の異常によって、今年の8月の気象予報は60%以下の的中率と
 近年になく天気予報があたらなかったようですね。

 やはり、前線などの条件が例年と異なるため、過去のデータが利用
 できないことが一番の原因と伝えられていました。

 特異日といって、過去のデータが全て晴れになっている日などの場
 合、予想上は、どうかな?と思っても最終的に「晴れ」の予想とし
 ていると聴いたことがあります(ずいぶん前なので今は違うかもし
 れません)。

 観測点のデータ増加とスーパーコンピュータでの計算で精度があが
 っても、やはり、過去の規則性や相関が、予想のウェイトとして大
 きいことに違いはないようです。

 それでは、次回、2003年9月18日Vol.38もよろしくお願いします。
                        ARI A&S 編集部

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